2024.11.28
買取事例
『いざなぎ流御祈祷』第1集~第3集を買取しました
高木哲夫著『いざなぎ流御祈祷』第1集~第3集を買取しました。このシリーズは、高知県香美市物部町に伝わる民間信仰「いざなぎ流」の儀礼や祈祷を詳細に記録した貴重な資料です。いざなぎ流は、陰陽道、修験道、仏教、神道が融合して成立したと考えられており、昭和55年(1980年)には国の重要無形民俗文化財に指定されています。
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いざなぎ流とは?
「いざなぎ流」の名称は、その起源を物語る「いざなぎ祭文」に登場する「いざなぎ様(大神)」に由来します。この祭文には、日本で経文の修行を始めた「天中姫宮」が天竺(インド)に渡り、「いざなぎ大神」から人形祈祷や弓祈祷などの祈祷法を学び、それを日本に伝えたという物語が記されています。
いざなぎ流には統括組織がなく、「太夫(たゆう)」と呼ばれる人々がその知識と技術を習得し、依頼があれば祈祷を行います。太夫は世襲制ではなく、志願者が師匠に弟子入りして技術を伝授され、「許し」を得るまで約10年かかると言われています。彼らは普段は農業や林業を営みながら、以下のような祈祷を行います
1. 神祭り:氏神や家の神を祀る。
2. 病人祈祷:病気を治すための祈祷。
3. 祈祷:弓を叩いて神憑りし、託宣(占い)を行う。
4. 鎮め:山の神や水神をなだめ、自然災害を防ぐ。
また、いざなぎ流の祈祷には舞を伴う所作が多く見られ、「舞神楽」とも称されます。たとえば、「湯立て」と呼ばれる儀式では、湯釜の前で祭文を唱えた後、松明と榊葉を手にして舞いながら家屋敷を祓い清める「火ぼての舞」「湯ぼての舞」が行われます。このように、いざなぎ流は地域の人々の生活と深く結びついた民間信仰です。
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買取した『いざなぎ流御祈祷』の内容
今回買取した高木哲夫著の『いざなぎ流御祈祷』シリーズは、このような独特の信仰と文化を詳しく記録した資料です。それぞれの巻に以下のテーマが含まれています:
- 第1集:いざなぎ流の基礎的な解説と主要な祈祷文。
- 第2集(病人祈祷篇):病気治しの祈祷に特化した儀礼や祈祷文を収録。
- 第3集(天ノ神・御先神・みこ神篇):天ノ神、御先神(祖先神)、みこ神(霊媒としての神)に関する祈祷法や儀礼を収録。
これらは、いざなぎ流の多様な儀礼や、その背景にある神仏習合の精神性を理解するための重要な資料です。
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いざなぎ流研究と文化保存の意義
いざなぎ流の文化は、地域に根ざした信仰と実践を通じて長年受け継がれてきました。高木哲夫氏の著作は、このような文化を後世に伝える役割を担い、地域信仰が日本全体の宗教文化における価値を示す重要な資料です。今回買取した書籍が、いざなぎ流に関心のある方や研究者の手に届き、有意義に活用されることを願っています。
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